お知らせ

【新刊】『労働系女子マンガ論!』発売です 

(2023/12/11)

トミヤマユキコ『労働系女子マンガ論!』本日発売です。

労働系女子マンガ論_書影帯なし

 

タバブックスwebサイトのよみものページ「マガジンtb」で、2013年から連載を開始した「労働系女子マンガ論!」、お休みの期間を経て2022年に再開、ついに本にすることができました。タバブックス10周年の今年、最後を飾るにふさわしい本書をお届けできることになり、感慨深いです。

この本のきっかけ、といえば、雨宮まみさんです。
前職で原稿をお願いして以来交流があり、タバブックスを始めてからも何かと応援してくれていたまみさん。ある日「たぶん宮川さん好きだと思いますよ」とトミヤマさんのことを教えてくれたのでした。

以前トミヤマさんの授業にゲストとして参加したとのこと、その授業が面白いから行かないかと誘われて、某大学の講義を一緒に聞きに行きました(モグリで。学生ですという体でいたけど、チラッと顔を見て出席表は配られなかった・苦笑)。
かなりの大きさの大教室が一杯でしたが、漫画をテーマにした講義は新鮮でおもしろく、これは人気なのわかる、何か書いてもらったら絶対いいですよね、という話をしたのを覚えています。
その後すぐにトミヤマさんに連絡して、パンケーキを食べながら連載の相談をしたのでした(トミヤマさんが著書1冊目の『パンケーキ・ノート』を出した頃)。女子マンガを労働の視点から読む、というテーマはもう読みたいに決まってるし、「労働系女子マンガ論!」というタイトルもすんなり決まった気がします。

本書から少し離れますが、まみさん、トミヤマさんとはたびたびいろいろなところで遭遇して、お二人には『仕事文脈』にも同時に書いてもらったことがあります。vol.3、特集:女と仕事。
雨宮まみ「インターネットと有名税」
トミヤマユキコ「労働系女子ドラマとして観る〈あまちゃん〉」
vol.3は品切れになってしまったのですが、まみさんの文章は長く残したく、再編集して書籍『女と仕事 仕事文脈セレクション』として刊行しました。こちらもぜひ読んでいただきたいです。

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まみさんとトミヤマさんの原稿、お隣同士です。雨宮さんはもう1本「家と愛情」も収録。

さて、本書についてです。
連載当初から書籍化を念頭においていて、どのような構成にするか、どのジャンルの本にするかなど、たびたび話し合いをしていました。職業のテーマ別にするか、評論として打ち出すか、エッセイとして読んでもらうか、など。構成案のエクセルシートがどんどん増えていき、なかなか決まらない…。方向性が定まってきたのは、連載再開後、原稿が全て出揃ってからでしょうか。作品発表の年代ごとに、おおよその章立てをしていくということで、自ずと時代背景や、それぞれの文章で伝えたいことが見えてくるのでは、と。

そこからは、トミヤマさんに「女性×労働」の視点からどんどん加筆していただき、作品論であり、女性と仕事の、およそ50年の歴史を振り返る考察となっていきました。ウーマン・リブの時代に生まれた『ベルサイユのバラ』、『美少女戦士セーラームーン』に描かれた働きやすい組織、就職氷河期の表象としての『ハッピー・マニア』『働きマン』、恋愛要素なし、仕事人間を肯定する『重版出来!』……こんな読み方があったのか、と発見感が刺激的です。

制作に関しては、読みやすさも重視しながら、トミヤマさんの現時点でのマンガ論の集大成的な位置付けになればと思い、過去作品とは少し違うテイストをめざしました。装丁は文芸書を多く担当している六月さんにお願いし、装画は漫画作品ではなく、イラストレーター浜野令子さんに作品を提供いただきました。

本書を読んで、ああマンガ読みたい!と思うのは必至…年末年始の読書リスト用にもぜひ!の1冊です。どうぞよろしくお願いいたします。

(宮川)

 

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