お知らせ

【新刊】『何卒よろしくお願いいたします』発売です 

(2022/7/28)

イ・ラン いがらしみきお『何卒よろしくお願いいたします』、本日発売です。

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本書は、韓国のアーティスト イ・ランさんと、『ぼのぼの』でおなじみの漫画家いがらしみきおさんによる往復書簡です。

なぜ、この二人?と思われるかもしれませんね。
お二人の出会い、実はタバブックスがきっかけ、かも。2019年に刊行したイ・ランさんのコミック『私が30代になった』の帯コメントを、元々大好きだった『ぼのぼの』(韓国で大人気だそう)や『I【アイ】』のいがらしさんに頼みたい、ということになり共通の友人の方を通してお願いしたのでした。その後ランさんがライブで来日したときに、仙台のいがらしさんのオフィスに行き意気投合、コラボしましょう!と手紙のやりとりが始まったことは、本書にも詳しく書かれています。

ただ、この企画自体に最初から関わっていたわけではありません。
始まりは昨年9月のランさんからのLINE通話でした。 最近あまり電話なんて来ることないから誰?と見たらlangleeの表示が。

「お久しぶり、元気ですか。相談があります」

と、手紙のやりとりを韓国、日本でそれぞれ出版する企画がある、原稿は揃ってて韓国では決まっているけど、 日本は出版社が決まっていない、タバブックスでどうですか?とのお話でした(日本語で。上手すぎ)。
え、すごいいいじゃないですか、うちでいいの? 念のため原稿送ってください、と読み始めたら、案の定ものすごく、よい。
コロナ真っ最中の緊張感もですが、ちょうどその頃自分も読んだり見たりしていたデヴィッド・グレーバー、はちどり、ノマドランド、アメリカ大統領選などが登場していてとても共感したし、さらにネット上のバッシング、トランス差別、格差、金融、土地、宗教、家族、など話題が広がり、議論し、対話が深まるのを目の当たりにして、読んでいるこちらも好奇心を刺激される、そんな読み心地で、すぐ「やりましょう!」とお返事したのでした。

そこから、すでに12月に刊行が決まっている韓国の出版社メディア・チャンビ、著者、翻訳者などのメールグループに入り、韓国語・日本語併記でやりとりが始まりました。
基本的には本文は韓国版を最終原稿として、本書のタイトルも、韓国版の日本語訳です。韓国語では、

모쪼록 잘 부탁드립니다

です。
これ、普段そんなに使わないそうです(잘 부탁드립니다 が自然?)が、日本人からのメールによく出てくるんですって。自動翻訳アプリを使うと「何卒よろしくお願いいたします」が「모쪼록 잘 부탁드립니다」に訳されるのがちょっとおもしろい、ということでタイトルにしたそうです。
「日本人に伝わる?」とイ・ランさんは心配してたけど、「何卒」って漢字がていねい過ぎ、みたいなおかしさがあっていい感じがして、日本版もこれに決めました。

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左が韓国版「모쪼록 잘 부탁드립니다」


韓国版も無事に出て、日本版は少し刊行が先になるから1本ずつ追加の手紙を、と準備を進めていた頃。イ・ランさんに辛い出来事があったのは、ご存知の方も多いと思います。
無理せず、落ち着いてからまたあらためて、と話していたそのすぐあと、イ・ランさんから手紙が届きました。それにいがらしさんもすぐにお返事を返してくれて、それは本当に渾身の、というにふさわしい往復書簡でした。 一部をご紹介します。

嘘をつかないのが私の最大の長所であると同時に弱点になったようですが、とにかくいがらしさんに手紙を書くときは一度も嘘をつきませんでした。そして、手紙をやり取りしていなかった間、私の血だらけの人生にまた多くのことが起きました。 
ー イ・ラン

我々はなぜ、この世界を好きではないまま生きていかなければならないのか。きっと好きではないけど、生きていたいと思わせるものがあるからかもしれない。/ランさん、楽になれる時はきっと来ますよ。だから長生きしてください。そして、もちろんまた必ずお会いしましょう。 
ー いがらしみきお


追加の手紙は、この本を何としても形にしよう、と思わせてくれるものでした。 この本のために集まってくれたみなさんも、同じ気持ちだったと思います。

日本語訳は、新しくユニットを作った甘栗舎さん、翻訳が本業ではなかったことから、韓日翻訳家小山内園子さんが監修にあたってくれました。契約書翻訳や韓国とのやりとりのお手伝いをしてくれたのはナムアレ・エージェンシー木下美絵さん。小山内さんは韓国の『ぼのぼのみたいに生きられたらいいのに』の翻訳、木下さんは本書はじめ多数のいがらしさんの本の仲介を担当と、いがらしさんにとてもゆかりのあるお二人です。

装丁は、『私が30代になった』も担当していただいた、惣田紗希さん。表紙の人形は人形作家の工藤夏海さん、お二人を引き合わせた方です。ちなみに人形の名前はイーラ&イーガ。どっちがどっちか…わかりますよね!撮影は『かなわない』でおなじみ植本一子さん、こういった撮影あまりしないんでしょうが、何か頼んでしまいました…みなさんありがとうございました!

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裏表紙、一生懸命手紙を読むイーラ&イーガです!

本が完成して、イ・ランさん、いがらしさんとメールで細かいやりとりをしていますが、 短い文章でも、お二人の言葉が一つ一つすてきで、手紙の続きを読んでいるようです。 最後に言葉についての一節を、本書から引用して終わります。

名前や、文章を書くことや、話の力について考えだすと止まりませんね。
あ、そして私たちが住みたい世の中についてもです。
ー イ・ラン

まったく言葉はどこにでも生えて行く植物のようです。たとえ枯れてしまっても、そこに残った根っこやタネから、また芽が吹き出します。たぶんそのやり方が「今とはちがう世界」を作り出す、たったひとつの方法かもしれませんね。
ーいがらしみきお


ぜひ本書で、お二人の対話を味わってくださいますよう、
何卒よろしくお願いいたします!

(宮川)

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韓国版、日本版とも、二人のイラスト・サインが入っています。会いたい…泣

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