お知らせ

【新刊】『1日が長いと感じられる日が、時々でもあるといい』発売です 

(2022/10/26)

小沼理『1日が長いと感じられる日が、時々でもあるといい』、本日発売です。

978-4-907053-57-4

 

新型コロナウィルス、東京オリンピック、元首相銃撃事件。著しい社会変化があった3度の夏、それでも生活は続いていく。迷い、怒り、喜び、苦しみ、考え、先へ向かう、注目のフリーランスライターによる3年間の日記です。

「日記を書くことは、日本で生きているゲイ男性の1人としての「アクティヴィズム」でもあった」‒‒
帯に入れたこの一節のとおり、セクシャルマイノリティの視点を通して差別や偏見、社会構造や政治の歪みを指摘する一方、生活者として、夕飯の献立や恋人や友人との会話など、日々の暮らしを淡々と記録しています。 この本ができるまでを、著者小沼さんとの出会いから書いてみたいと思います。

小沼さんには、私が取材される立場で初めてお会いしました。 2019年春、仕事文脈についてのインタビューです。
働き方を拡張する雑誌「仕事文脈」 やりがいでも能力開発でもない

この時事前に原稿を見せてもらって、特に補足も修正するところもなく、とてもいい記事だなと思ったのを覚えています。 フリーのライターさん、仕事文脈に興味を持っているらしい、文章もいい…機会があったら仕事してみたい一人として心のメモに残したのでした。

そうして仕事をお願いしたのは、それから1年も経たないうちでした!
2020年11月発売の『仕事文脈vol.17』「ことばはどこに行く」という特集に「小さな言葉」というエッセイを寄せてもらいました。しかも、いきなり巻頭に掲載。初めて書いてもらったのに、なんなのこの推しっぷり。

でも文章もよかったのもあるし、その前にコロナ以降に始めたというブログや、それを元にしたZINE『消毒日記』を読んで、よい書き手として関心が深まっていたこともあります。 これを機に、仕事文脈一緒にやってくださいと懇願し、やがて特集班チーフに任命し、この雑誌には欠かせないメンバーになってくれています。

そんなこんなで打合せなどで話をすることも増え、小沼ZINEもあらたに1冊でき、そろそろ書籍にまとめるのはどうですか、 と提案したのは自分的には自然な流れでした。信頼してる人2、3人がいいっていうものはいい、というわりと確信している法則からも本にするタイミングかな、と。

この時の、「え、いいんですか、僕なんかで」みたいな小沼さんの反応は、その後本を作るうえでの一つのテーマでもあった気がします。
正確で読みやすく、嫌なところがない、それは小沼さんの文章の魅力ではあるけれど、そのもっと深いところにあるもの。それが3年分の膨大な日記の、本に入れるために抜粋した文にも端々にあって、それがどこから来るのかというのが気になり、日記とは別にコラムを書いてみてはと提案しました。「私はエラー」。このタイトルで来た原稿を読み、もうこの本の骨格ができたなと思えました。

本には今年の夏の終わりまでの日記を入れることにして、刊行は秋か年内ですかねーと言っていたところで、lonelinessbooksでみた韓国のグラフィックノベル『yoyo』のチョン・イヨンさんという方の絵がよかったと聞き、韓国…といえばロンリネスの潟見さんも出るAISIA BOOK MARKETが10月中旬にある、韓国アーティストの絵が表紙でデザイン潟見さんって最高では…と、思いついて相談したらみなさん快諾してくれてやるしかない!状況で猛スピードで進行。開催前日に見本出来、著者にも大量に手持ちで運んで無事先行販売、トークイベントも行い、2日間ブースで売り子&サインしてもらって持って行った分完売!という幸せなスタートを切りました。

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まえがきの試し読みを読んだ方や、お送りした方から早々メッセージをいただいて、何かを感じとっていただいている…そんなことを実感しています。
トークイベントのご提案もいただき、こちら11月11日に開催されます。

小沼理+宮崎智之『1日が長いと感じられる日が、時々でもあるといい』刊行記念トーク

「どうにかここまで来た、と思う。」
本文中の一節ですが、著者自身はもちろん、読んだ方も、そんなふうに思える本だと思います。ぜひご一読のほど、よろしくお願いいたします。

(宮川)

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