お知らせ

【新刊】惣田紗希『山風にのって歌がきこえる 大槻三好と松枝のこと』発売です 

(2019/10/7)

惣田紗希『山風にのって歌がきこえる 大槻三好と松枝のこと』、本日発売です。

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太田市美術館・図書館「ことばをながめる、ことばとあるく 詩と歌のある風景」出品作品である大槻三好・松枝、惣田紗希 短歌×イラストレーション作品をもとにした書籍です。昭和初期、太田市の歌人で教員の大槻三好・松枝の出会い、結婚、出産、松枝の死、そして遺された子。二人の短くかけがえのない日々はみずみずしい口語短歌で残されており、その中から選出・編集した短歌をイラストレーションとともに1冊にまとめました。
グラフィックデザイナー/イラストレーターの惣田紗希さんが、イラスト、装丁、短歌選出、エッセイすべてを手がけた、渾身の一冊です。

この本のきっかけは、もちろん美術館の展示を見たことです。ちょっと遠いけど美術館も見てみたかったし、惣田さんの地元・栃木県足利市も近く、足利はいい飲み屋がたくさんありますよと聞いて、飲み友達とともに訪問したのでした。

大槻三好・松枝のことはまったく知らず、そして群馬県も太田市も、なじみはありません。でも3面の壁いっぱいに描かれた山や草木、恋人たちと、そこに並ぶ夫妻の短歌に、この土地に何か親しみを覚え、時代を超えて2人の深い結びつきに心を揺さぶられていました。
本の提案するために2度目に訪れたとき、学芸員の方とお話ししたら、展示を見て涙を流す方もいますと聞き、やはり心を動かす作品であることを実感しました。

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本にするにあたって、惣田さんの提案でまず松枝が遺した子である大槻正好さんにお会いしました。強い愛で結ばれながら、出産後すぐに妻が亡くなるという悲しい別れをした2人についてお話が聞ければ、と思ったのです。が、実際に伺ったのは、想像していなかった現実でした。松枝の死後、三好は再婚し二男四女をもうけました。前妻の子である正好さんの境遇は複雑で、実母のことは封印されて育ち、やがて始めた短歌に母への強い想いを残していた。事実は美しいだけではなく、本づくりを根本から考え直すことになりました。

その後、三好が暮らした家に作品を保管してあると聞き、正好さんの異母兄弟、友康さん直祐さんを訪ねました。父である三好の思い出、家族の暮らしを聞き、その生き方を知るうちに、少しずつ方向が見えてきた気がします。

惣田さんは栃木の足利在住で離れていることもあり、ひんぱんに打ち合わせができず、何か会う機会があればそこで話をして内容を詰めていきました。たまたまソウルで合流して、深夜の居酒屋でノートを広げて構成を話し合いましたね!

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 こうして本の形を考えていき、その後は二人の短歌を選び、配置し、イラストを描き下ろし、デザインをして、と本づくりのほぼ全ての作業を惣田さんが行いました。著者なのに!これ以外にない、というタイトルも惣田さん案です。

出来上がった本は、愛らしく、本当に風が感じられるような佇まいになりました。

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いちはやく手に取った方からもそんな声をいただき、あの展示空間を伝えることができたのかな、と思います。

ぜひ多くの方にごらんいただきたい1冊です。

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