お知らせ

【新刊】『フェアな関係』発売です 

(2022/11/24)

兼桝綾『フェアな関係』、本日発売です。

書影用

地元と東京、仕事とジェンダー、恋愛、セックス、結婚。この社会にいる女性たちの自我を描く兼桝綾、第一小説集。
この紹介どおり、兼桝綾さんの初めての本になります。

『仕事文脈』に掲載していた小説の中から厳選した7編に書き下ろしを加えた短編集です。上に帯付きの書影を載せていますが、この中の「友情結婚からのセックスレスなのである。」で始まる「フェアな関係」が評判を呼び、続編2編を急きょ執筆、本にすることができました。

最初の掲載は『仕事文脈vol.11』、2017年11月だったので5年前ですね。
兼桝さんと初めて会ったのは、それより数年前の文学フリマでしょうか。うちは『仕事文脈』、兼桝さんは『生活単価』というZINEを作って出していて、共通の知人に紹介してもらったような。漢字四文字同士だなーと思って読んでみたらとてもよくて、書いてみませんかとお願いしたのでした。

最初にもらった「避難訓練」、本書にも収録していますが、独特のキャラクター、女性同士の関係性……なんともいえない読後感にニヤリ。あまり表に出したくない、でも誰でも持っているような、「意地悪感」とでもいうようなものが通底しているように感じます。毎号そんな作品を寄せてくれて、読者として楽しんでいました。

なかでもvol.20掲載の「フェアな関係」は、恋愛、結婚そして女性の性欲というあまり真正面から語られないテーマをフラットに、ユーモアも交えて描くというちょっと見たことないような読み心地でいいな、と思ったらやはり反響も大きかった。これはこのタイミングでまとめては、とは言ったものの、最初の作品は完結していないので、続編で着地させるのは大変だったと思います。今の3連作に落ち着いて、本当によかった……地道な工夫をして、きちんと準備をして書かれたこと、それも伝わってくるのではと思います。

表紙の絵は『バクちゃん』『花四段といっしょ』で人気の増村十七さんです。元々ご友人で『生活単価』の表紙も描かれていました。制作中「あやちゃん」と呼んでいましたが、リアル兼桝さんと作品に出てくる女性たちどちらも思い浮かびます。装丁の瀬戸内デザイン小川恵子さんも兼桝さんの紹介、知己の方々に愛らしい本に仕上げていただきました。
文芸作品は経験少ないタバブックスですが、この本は自信を持っておすすめします。ご一読いただければ幸いです!

(宮川)

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