翻訳ができる体(後編)/小山内園子
前編はこちらです。 * * * 「小説を書ける体」「努力」。その言葉を見た時、それまでの少し自嘲的な気分が消えた。何か、決定的に違うものを見せられたような気がした。好きでいること、夢中であることへの態度が、作家と私とで … 続きを読む
おもしろいことを、おもしろいままに本にして、きもちよくお届けする。そんな出版社をめざしています。
前編はこちらです。 * * * 「小説を書ける体」「努力」。その言葉を見た時、それまでの少し自嘲的な気分が消えた。何か、決定的に違うものを見せられたような気がした。好きでいること、夢中であることへの態度が、作家と私とで … 続きを読む
翻訳作業は基本、座ってばかりである。「座業」という言葉があるけれど、まさにそれ。デスクトップのパソコンにキーボード、紙の束、辞書、辞書アプリが入っているiPad、「いちばん使いやすい色鉛筆」と愛用してい … 続きを読む
前編はこちらです ** 時間と距離を置こうとして以来、不思議な感覚に襲われるようになった。言葉を信じられなくなったのだ。どんな言葉にも実体を感じられず、どれもが虚偽のように思え、虚無感に襲われた。他人の話だけでなく、自 … 続きを読む
小説を訳していると、どうしても時間の流れが気になってしまう。2024年に拙訳した作品はどれも、止まっているかのような時間の中にいる主人公たちを描いたものだった。 キム・グミ『敬愛の心』では、火災事件で大 … 続きを読む
前編はこちらです *** 「同意なしに、誰かの何かを利用する」という行為は、少し大げさにいえば尊厳を踏みにじる行為だと私は思っている。人の尊厳を犯す可能性は、目を凝らせば日常のそこここにある。翻訳業務も例外ではない。 … 続きを読む