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女性、育児、フリーランス from 滋賀 #07 女性らしさ浮遊霊 

(2025/6/10)

女性

 

先日の仕事のことです。「人×〇〇」というテーマの記事の取材をしました。クライアントは、若い人が楽しそうに取材先を体験している写真を所望されているとのことで、浪花さん映り込んできてもらえますか?と。企画書にある「人」が一体なんなのかは明記されてなかったけど、送られてきた参考記事には女性しか映っていません。これが俗に言う「若い女性がいると華がある」みたいなやつですか? 男性ライターにも同じこと頼みます? 先に依頼自体を請けていたので対応したけど、ずっとモヤモヤしていました。

思い出したのが、フリーランスとして駆け出しの頃のこと。だれかライターを紹介してほしいと言われ、知人の名前を挙げました。「あの、その方男性ですか? できれば女性でお願いできますか」。え、なんで男性ダメなんですか?と、すかさず質問。別に女性じゃないと書けない内容ではなさそうですけど……。

「今回クライアントが女性らしい視点を求めていまして。文章のタッチとかも違いますし」

そう聞いて違和感を感じたことを覚えています。「女性らしい」ってなんだろう、と。そして、この女性らしさって浮遊霊のように仕事の至るところにいる。女性のほうがやわらかい文章が書けそうだから、カフェとかスイーツとか洋館とか猫とか好きで詳しそうだから、子育て中でママならではの情報を知ってる、みたいな? 知らんけど。生物学的に分析していくとそういう傾向が見られるのかもしれません。ただ、女性としての生きづらさを抜きに、女性らしい視点とかありえないのではと思っています。そこに無自覚でいるのはよくないのでは、と過去の自分もふくめ思う。そんなわけで、まだ死んでなかったんかお前と思いながら、成仏を願い「それちょっと違うんじゃないですか」と言う日々です。

話戻って、女性ライター映り込み必須案件のこと。取材前に依頼主と一悶着したので、たぶんそのことが伝わっていたのでしょう、カメラマンさんの気遣いを感じます。このぐらいならOKですか?とこまかく確認してくださり、申し訳がありません。わたしは映り込みがNGなんじゃなくて、それを女性にだけ求めることが嫌なんですよォと思いながらも、今更そんなこと現場で言うのは迷惑なので、いえもう勝手に撮ってもらって大丈夫です!!と明るく努めるようにしました。取材自体は楽しかったです。

数日後、カメラマンから届いたメールに「家父長制というワードが出たとき『同志!』って思いました」の一言。取材中、なにかのはずみで「家父長制が……」と口から出てしまったのです。女性だからって勝手に課せられるあれこれ、解体していきたいですねと思いながら、「これよかったらおすすめです」とタバブックス発行『家父長制はいらない』のリンクを送り返しました。

(浪花)

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最近ドラァグクイーンのショーを見ました。一緒に行った友だちと「うちら抑圧されてるんだね、解放されて〜」と言い合いました

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