25歳、本と私#11 誕生日、喧嘩、4・5月の読了本15冊
(2023/6/2)
5月25日に25歳になりました、アルバイトスタッフのげじまです。
誕生日を迎えたものの、先週は別のアルバイト先の本屋で二つも事件が起こって踏んだり蹴ったりな1週間でした。
月曜日には、2月の首相秘書官発言を受けて私が作った「同性愛嫌悪を終わらせるための最初の一冊」コーナーの前で、「今の時代に言うことじゃないと思うけどさー、オレLGBTって大っ嫌いなんだよね」と言ったお客と喧嘩しました。水曜日には、店内改装を理由に人文書が担当の私の知らない間に3分の1くらいの冊数に減らされ、「#JusticeForWishma #入管法改悪反対 のためのミニブックフェア」も勝手に崩されていて社員と喧嘩しました。
怒って泣いて疲れた1週間でした。たぶん私の職場で起こることだけで『怒りZINE』をあと2冊くらい書けそうです。でも昨日『トランスジェンダー問題』が一冊売れたので、若干メンタルを持ち直しました。しぶとく闘い続けようと思います。
さて、私生活では4・5月と文学フリマ東京(5月21日開催)に向けて個人制作のZINE『三人が苦手 vol.2』を作っていたこともあり、あまり本を読めない日々でした。2ヶ月分合わせて読了本を紹介します。
4月
1冊目(4月6日読了)三浦しをん『ののはな通信』
レズビアンの物語が読みたい!!と自分のセクシュアリティと近いものを求めていたときに買ってすぐ読みました。小説をあまり読まない自分が500ページ超えの長編を読み切れるんだ〜と感慨。
2冊目(4月7日読了)ZINE『透明人間さよなら』
岐阜で新たにオープンした「本屋メガホン」の店主によるZINE。「本屋メガホン」さんは、セクシャルマイノリティや障害者、日本に住む外国籍の人、フェミニズムに関する本など社会の周縁に追いやられ、いないことにされてきた人たちについて書かれた本をメインに取り扱い、本屋がメガホンとなって彼らの「小さな声を大きく届ける」ことを目指しているそうで、セーファースペースポリシーもある本屋さんです(素敵)。
ZINEはタイトルと内容にリンクするような、半透明のトレーシングペーパーを用いた造本で、物質としてもとても素晴らしかったです。ぜひいろんな人に届いてほしいと思いました。
3冊目(4月13日読了)ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会『NOヘイト!出版の製造者責任を考える』
書店員を始めてすぐの頃、書店歴の長い社員とヘイト本について話していた時、「版元が作らなければいい」的なことを言っているのを聞いて、「ヘイト本を置く書店の、っていうかあなたの責任は??」と苛立ったのを思い出しました。
4冊目(4月23日読了)高山真『エゴイスト』
東京レインボープライドの日に、地方統一選挙の開票作業を参観しながら読み終わりました。
5月
1冊目(5月4日読了)『Over vol.4』
TRPで購入したものを、安堂ホセさん×北丸雄二さんのトークイベントの当日に読み終えました。「クィアを、取り戻す」とデカデカと書いてあるわりにはほぼシスゲイ男性しか登場しない感じや、フェミニズム冷笑的な部分が引っかかり、その違和感を編集者の宇田川しいさんと北丸さんにぶつけた日でした。
2冊目(5月6日読了)王谷晶『ババヤガの夜』
文庫版が発売されてすぐgururiさんで購入し、その足で行った喫茶店で読み終わりました。暴力的な女が大好きです。今のところ今年のベスト3に入ってきそうな感じでした。
3冊目(5月11日読了)ハン・ガン『すべての、白いものたちの』
文章が美しすぎて涙が出そうになることってあるんだ、と思いました。
4冊目(5月21日読了)李琴峰『ポラリスが降り注ぐ夜』
「どうせ好きに決まっている……」と思ってショートケーキのいちごよろしく読まないでいたのを読んでみました。やっぱり傑作でした。何度でも読み返したいです。
5冊目(5月22日読了)僕のマリ『いかれた慕情』
文学フリマ東京の百万年書房さんのブースで先行発売していたものを購入し、僕のマリさんご本人のブースでサインしてもらいました。「BIG LOVE」と書いてもらってしまって、「こちらこそBIG LOVEなんだが…‥」と思いました。とても良い作品です。
6冊目(5月23日読了)小川たまか『たまたま生まれてフィメール』
『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』の小川さん最新作フェミニズムエッセイ。大真面目だけど独特のユーモアがあっておもろいです。ツイッターでのフェミバッシングは身に覚えがありすぎてしんどかったので、K-POPの明るい曲を流しながら読みました。
7冊目(5月28日読了)『エトセトラ VOL.9 特集 NO MORE 女人禁制!』
こちらも文フリの先行販売で入手したもの。超力作でした。目次だけで伝わってくるインターセクショナルな視点と構成がすごいです。読みながら「こんな女人禁制もあったのか」と新しく知ることも多かったし、「こんなにまだ女人禁制残ってるんかい」と腹が立ちました。とれたてクラブさんの商業漫画デビュー作「ワタシってディ→バディ→バしてるから」も最高なのでぜひたくさん読まれてほしいです。
8冊目(5月28日読了)文乃『FROM THE HELL MAGAZINE volume.2』
volume.1を読んで「すごく良い……」と思っていた文乃さんのZINEの2冊目を文フリでご本人から購入。本当に日本社会は地獄なのでお互いによく生き抜いていると思いました。
9冊目(5月28日読了)MON『tottori and the dune』
文フリでたまたま通りすがったブースでかわいいイラストのZINEたちに目を惹かれ、購入した鳥取旅記録ZINE。どうやったらこんなに小さくてかわいいものが作れるんでしょう。
10冊目(5月28日読了)武塙麻衣子『驟雨とビール』
タイトルの読み方を何度も忘れてしまいます。僕のマリさんおすすめの日記本。食い意地の張り方が素敵です。この本でも、小沼理さん『1日が長いと感じられる日が、時々でもあるといい』でも、2021年8月6日の日記に小田急線事件のことが書いてありました。
11冊目(5月30日読了)僕のマリ『清潔な寝床』
日記つながりで僕のマリさん自主制作のこちらも読みました。
「たまに、『常識のない喫茶店』の感想で、「やりすぎ」という声を見かける。出禁や店の外まで追いかけるが刺激的であることはわかるけど、若い女性店員をしつこく食事に誘ったり、じろじろ見つめたり、暴言を吐くことはやりすぎじゃないんだろうか」
「そういう批判に通底しているのはやっぱり、「(そんな身分の、若い女のくせに)言うことを聞かない生意気さ」という怒りなんだろうと思ってしまう」
という文章が、冒頭に書いた私の誕生日週に起こったこととリンクして、今読んでよかったと思いました。私は店員の立場でお客と、アルバイトの立場で社員と喧嘩したけど、当事者が作った棚の前で「LGBT大っ嫌い」って言うことや、担当フェアを勝手に撤去することこそ「やりすぎ」だろうと思いました。
僕のマリさんの『常識のない喫茶店』は私の理想の接客スタイルです。
6月は世界的にプライド月間なので、関連書籍をたくさん読みたいです。
(げじま)
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