女性、育児、フリーランス#03 働く、つくる、働く
(2025/2/12)
フリーランスの編集者1本で本格的に仕事をしはじめてから、早いもので数年が経ちます。春:定期で固定されている仕事にあたる、夏:暇、秋:とにかく忙しい、冬:忙しいけど春にむけてフェードアウトしていく、とだいたい1年のサイクルが決まってきています。
ですが、2023年に妊娠、出産をしたことによって、本来繁忙期なはずの秋、冬をパスしてしまったので、昨年はさすがに焦りました。妊娠による体調不良等で1年の半分ほど働けなかったので、蓄えがそもそも少ないのです。例年わりと暇な夏季ですが、昨年はさらにうまくいかないことの連続。こんな感じで生きていけるのか?と不安で押しつぶされそうになりますが、子どもたちを食べさないといけないわけで。工場の派遣バイトに行ったり、スキマバイトで近所のスーパーの清掃をしたりしながらなんとか夏越え(そのようすは現在発売中の『仕事文脈』vol.25の、巻末コラムに書いています!)。いつも通り秋は忙殺され、今に至ります。
わたしだけでないと思うのですが、暇な時期、落ち着かず困ってしまいます。なにかを勉強するとか、つくるとか、旅に出るとか、投資の時期にしてもいいのだろうけど、いきなり始めるのはちょっと大変(まったく仕事がないわけでもないし)。とはいえ繁忙期には隙間時間が微塵もなかったりするので、経済的に無理もせず、違うことを少しでもしたい気持ちにもなります。そんな時期にやっているのが、編み物です。もちろん完全に趣味のなんでもない行為ですが、気づくと編み物も8年ぐらいやっていて、ぴったりとフリーランスの仕事のサイクルに組み込まれています。
数年前に編んだ娘のワンピース。ニッターが嫌う(?)永遠のメリヤス編み地獄は、この世で最も好きな地獄です
なぜ編みたくなるのか、人はつくりたくなるのか。なぜ「つくる」って、趣味だとしても必要なんだろうか。そんなことを考えるたびに思い出すのが、田村由美の超名作『7 SEEDS』のある一節です。ストーリーをざっくり説明すると、人類滅亡後の地球を存続させるため、生態系も変わった世界をサバイブするという話。合理性だけで育てられてきた登場人物らが「生きるのに必要ないだろう」「暇と余裕のある人間のすることだ」と言いますが、それに対し若きピアニストはこう言います。
「あんたら趣味とか生きがいとかないの/じゃあなんで戦時下でピアノを弾くのさ/絵を描きながら飢え死にするのさ/内戦のさなか歌を歌うのさ/ボールを蹴るのさ/人として生きていくためじゃないか」
「そういうことがわからないからすぐ暴力に走るんだよ」
めっちゃいい台詞〜! ここに答えが詰まってる気がしますね……田村由美は本当に天才よ……。そんなこんなで、現在制作中の『仕事文脈』vol.26では「つくる」がひとつのキーワードになりそうです。「つくる」はどう巡り、生きることにつながっているのか。どんな企画が揃うのか、どうぞご期待ください!
(浪花)
tbスタッフマガジン 一覧
- 女性、育児、フリーランス from 滋賀 #04 税金うざい
- 女性、育児、フリーランス#03 働く、つくる、働く
- 女性、育児、フリーランス from 滋賀 #02 日々せめぎ合い
- 女性、育児、フリーランス from 滋賀 #01
- 今日も働くよ #1 就活の荒波
- 今日も働くよ #0
- モリモリ読んでいます #0
- タバブックスの思い出
- おおねこ日記 #0 自己紹介・介護が気になる
- 試合に負けたらなぜ坊主?サッカー部の謎ルール10選
- くるぶしソックスをめぐる戦い
- 社会課題にのりきれない
- 25歳、本と私#11 誕生日、喧嘩、4・5月の読了本15冊
- 25歳、本と私#10 選挙と入管とクィアのブックフェアをやった4月。
- 25歳、本と私#9 3月の読了本19冊
- 25歳、本と私#8 返品了解がめんどくさい問題。
- 25歳、本と私#7 下北沢のお寺で古本市でまた向田邦子。
- 25歳、本と私#6 2月の読了本25冊
- 25歳、本と私#5 UNITÉの大森さんに「友達になってください」と言った日。
- 25歳、本と私#4 書店のセルフ検閲に抗議した話。
- 僕はこうやってZINEを作っている、あなたは? #2 コンセプトを考える
- 25歳、本と私#3 1月の読了本13冊
- 僕はこうやってZINEを作っている、あなたは? #1 ZINEのスタイル
- 25歳、本と私 #2札幌で書店めぐり・続
- 25歳、本と私 #1札幌で書店めぐり
- 僕はこうやってZINEを作っている、あなたは?#0
- 25歳、本と私 #0