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女性、育児、フリーランス from 滋賀 #02 日々せめぎ合い 

(2025/1/10)

女性

 

車に子どもふたりを乗せて走っていた年末のある日、後座席から突然「うぉ〜〜ん」という泣き声が。6歳の長女が急に泣き出したのです。

何事!?と声をかけると、どうも道すがら見えたMの看板に反応したよう。そうです、マクドナルドです……。我が家は2023年10月から激化したイスラエル軍によるパレスチナでのジェノサイドをやめさせるべく、この1年、地道にBDSをやっていました。

もちろん完璧ではなくて、Amazonはインフラ的に頼らざるを得ないし、BDS対象企業と気づかずに買ってしまうことも。とはいえ、今まで家で使っていたサービスや製品の購入をやめようと心がけるだけでも、少なからず影響はあります。一番は子どもたち。1歳の次女はあまり関係がないけど、数年馴染んできたものを突然絶たれてしまった長女にとっては、急に我慢を強いられることになりました。

車にパレスチナとウクライナへの連帯を示すマグネットを貼ったり、デモに行ったり、出かける際は必ず反戦パッチ等をカバンにつけたり、直接パレスチナの人の支援につながるプロダクトを買ったり。そうした場に子どもたちも連れて行き、しつこく今なぜこうしないといけないのかを話しているので、長女は幼いながら「戦争はダメなこと」「やめさせないといけないこと」をよく理解していると思います。けれどやっぱり、「お友だちはみんなふつうにマクドナルドに行けるのに、自分だけ行けないのが悲しい」という当たり前の感情も持っていて、この1年それを押し殺して過ごしてくれていたのだと思うと、心苦しさでいっぱいになりました。

 

いろいろと話し合った結果、クリスマスプレゼントのひとつとして、長女の望むハッピーセットを購入。最後に食べた時は、まだハンバーガーは食べられなかったのに、今回は「チーズバーガーがいい。ナゲットも食べたい」と言い、バーガーのセット+ナゲットを買うことに。ものすごく嬉しそうに食べていて、心底泣けました。あっというまに平らげてしまい、子どもの1年の成長幅というか、時間の密度も思い知らされました。

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(長女は1年の間、おりがみで大量にポテトをつくり、マクドナルドに行けないうさをなんとか晴らそうとしていました)

歳を重ねるほど1年があっという間で、むしろ体のコンディションも下がる一方だけど、子どもにとっての1年はそうじゃない。できることや自分の意思が、大人の想像以上にどんどん増えていくのがわかります。6歳にもなると話せば理解してくれることも多く、助かっていますが、話してわかってもらう=思いを丸めこんでいることも否めません。

先日、スーパーで子どもたちと買い物をしていると、2歳ぐらいの男の子が「いちごがよかった!」と大泣きしていました。いちごが、と言っているので、おそらくいちごとは別の果物かなにかを買ったのでしょう。正月過ぎて少しは値下がったとはいえ、1パック680円+税。わかるよ、気軽に買えないよね……。思わず親子に同情。ちょうどわたしも長女に「今日はいちごいくら? 買える?」と聞かれ、う〜ん、今日も高いから買えないね、諦めて!と言った矢先だったのです。

 

長女は半ば仕方なさそうにしながらうなずいてくれたけど、本当はあの男の子と同じぐらい「いちご買って!」と泣き叫びたかったかもしれないな、と思いました。いや、それでも高いから簡単に買えないけど、そもそもなんでこんなにすべてが高いの? キャベツ1玉1000円とか何? ほしいものや必要なものが気軽に買えないってどういうこと? それってみんなで我慢しなきゃいけないことなの? 自民党の政治家はものすごい額の裏金で私腹を肥やしているのに? どんどん税金加算されて意味わからんことにも使われてるし??

わかってね、とつい言ってしまうけど、わたし自身が世の中に対してわからないこと、不満に思うことだらけではないか。そもそももっと大きなところに問題があるのに、「個々人で理解して状況に合わせていったらいいな!」と思ってはいけない、ということも改めて思い返しました。

お金や権力といった大きな力を持っていない立場ほど、どんどん苦しい状況を受け入れざるを得なくなると、世の中の構造を見ていて感じます。そうした弱い立場になりやすいのは、いつの時代も子どもや若い人たち。子ども/親という小さな関係で見てもそうです(猛省)。若い世代に生きづらさを強いて、戦争や虐殺が続くようなこわい世界を当たり前のものとさせてはいけないし、そうしないためにできることをやっていきたい。まずは今、若い世代がどう感じているのか、そこにはどんな社会背景があるのかを知るのはひとつのヒントになると思います。たくさんの人と一緒に考えていきたい。まずはぜひ、タバブックスの新刊『若者の戦争と政治 20代50人に聞く実感、教育、アクション』を読んでみてください!

本書の詳細はこちらにまとまっています。ご購入の際は、お近くの書店や、タバブックスのネットショップをご利用ください。

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(浪花)

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