tbスタッフマガジン

25歳、本と私#5 UNITÉの大森さんに「友達になってください」と言った日。 

(2023/2/17)

 こんにちは。先週アルバイトをしている書店に出勤したら、電車が止まって他のスタッフが来られず、あわててひとり開店作業をしました。スタッフのげじまです。

 先日、三鷹にある本屋UNITÉさんに行って、店主の大森さんに「友達になってください」と言いました。私は少し前から大森さんのことが気になってしょうがなかったのです。

 きっかけは昨年11月の文学フリマのとき。私は、知人と一緒につくったZINE『三人が苦手』を販売していました。そのとき私たちのブースに来て「僕も三人が苦手なんでめっちゃわかります。タイトルと目が合ってしまってこれは買うしかない」的なことを言ってZINEを買ってくれた人がいました。

 それが実は大森さんでした。YouTube動画で『三人が苦手』を紹介してくれている人がいるな〜あれ?文フリで話しかけてくれた人だな、とか思っていたら、20代で本屋を開業してイベントもたくさんやってYouTubeもやっているすごい人・大森さんだったんです。

 「え、20代で本屋開くって私の夢やんけ」と思って、すでに叶えてしまっている(しかも私と同じで「三人が苦手」な)大森さんは一体どういう人なんだろうと関心を持ちました。

 ちょうどZINEを置いてくれる書店さんを探していたのでメールを送って、UNITÉに直接納品することに。これは大森さんと話すチャンスと考え、カルディのお菓子をお近づきのしるしに「大森さんとお友達になりたくて……!」と言ってみました。「あ、いいですよ」みたいな感じで、晴れて大森さんとお友達(?)になりました。

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 店内のカフェスペースで大森さんが出してくれたジュースと自分で持ってきたお菓子を食べながら(差し入れなのに自分のほうが食べてしまった汗汗)、本の流通はどうなっているのかとか、掛け率をどう思っているのかとか、内装はどうやってやったのかとか、YouTubeをなんで始めたのかとか、大森さんは前どんな書店で働いていたのかとか、どんなお客さんに向けてお店をやっているのかとか、ひたすら本と本屋の話をしました。

 話の流れで「最近『フェミニスト・シティ』を読んでから建築の本に興味があるんです」と言うと、大森さんはすっと立ち上がって建築の棚に向かい、棚の前でしばらくじーっとなにかを考えていたかと思うと、ピッと棚から1冊の本を手に取って「これとかどうですか?」と見せてくれました。

 『住む・棲む』というタイトルのその本の帯には、「家に棲む暴力?」「ハウスレスとホームレス?」「移民の帰属感覚と『ホーム』?」といった文字が並び、たしかに私の関心領域に刺さってくる一冊でした。

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 でも不思議なのは、大森さんが見ていたのは本の背で、そこにはタイトルと著者しか書いていないことです。本を注文する時も大森さんは、タイトルと著者しか見ないと言っていました。それなのになんでピッと一発で手に取った一冊が、ちょうど私向けの建築書だったのか、そのときの大森さんの頭の中でどんな情報処理が行われたのか、本当に不思議でした。手品師のようだと思いました。

 いまUNITÉの店内にある本は約4000冊で、大森さんの自宅にはそれと同じくらいの蔵書があるそうです。毎月40〜50冊くらい本を買って、10〜20冊くらい本を読む生活を20代初めからしているという大森さんの目は、書店員1年目の私とは比べ物にならないほど肥えているみたいです。

 どうりでガッサーン・カナファーニーの『太陽の男たち/ハイファに戻って』や、ナギーブ・マフフーズの『ミダック横丁』、岡真理の『アラブ、祈りとしての文学』など、アラビア語専攻の学生(私は大学でアラビア語専攻でした)くらいしか知らなそうなアラブ文学の本とかもさらっと置いてあるわけだと思いました。圧倒的な読書量がその広大な守備範囲をつくっていて、私はまだまだ修行が足りないと思い知りました。

 雨でお客さんがいないのをいいことに、おしゃべりに付き合ってもらっていたら閉店時間を1時間も過ぎていました(本当にすいません汗汗汗)。

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 最後に大森さんが寄稿している『群像』3月号と、大森さんがピッと選んだ『住む・棲む』、「植物に関心があるんです」と言ったらおすすめしてくれた朝比奈秋『植物少女』、梨木香歩『村田エフェンディ滞土録』を買って、大満足で帰途につきました。

 またお友達(?)の大森さんと本の話をしに、UNITÉにお邪魔したいです。

(げじま)

 

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