3/8国際女性デーに読みたいフェミニズムの本 2024年版
(2024/2/8)
3月8日は「国際女性デー」。女性の自由と権利を謳い、達成してきた成果を認識する日とされています。フェミニズムの長い闘いの歴史を確認する日だといえるでしょう。
タバブックスでは日本、韓国のフェミニズム書籍を刊行してきました。女性蔑視、ジェンダー格差、性暴力、フェミサイドなどに対する女性たちの行動、また最近では性の自己決定権、女性労働表象、女性議員を増やす取り組み、差別や抑圧を最小化する取り組みなど、フェミニズムに関わるテーマを幅広く取り上げています。ぜひこの時期に読んでいただきたくご紹介します。
セーファースペース(ZINE)
編著 皆本夏樹+gasi editorial
2024年
ジェンダー、セクシュアリティ、障害の有無、人種、国籍、階級、年齢、能力などに基づく差別や抑圧、ハラスメントや暴力をできるだけゼロに近づけ、さまざまな属性を持つ人がお互いを尊重し合える空間をつくる試みを紹介。あらゆる空間をより安全にしていくための一冊です。
「セーファースペースとは、全体から隔離された『部分』として設けられるような『避難所』や『駆け込み寺』のような場所ではない、という点。つまりそれは、たとえば女性専用車両のように、『より安全な空間』を全体(の車両)と区別して部分的に設けるということではなく、すべての車両を『より安全な』空間にしていく、そのための挑戦であるということだ。」(堅田香緒里「セーファースペースとは」より)
労働系女子マンガ論!
著 トミヤマユキコ
2023年
恋愛、結婚、出産、といった人生のイベントを迎えるたび、続けるか辞めるかの選択を迫られるのは、たいてい女子の側。労働環境はここ数十年で大きく変化し、どうするのがベストなのか判断がつかない…「女子×労働」の視点で読む女子マンガに人生をサバイブするヒントがある!「女性と労働」表象を読み解く、気鋭の研究者トミヤマユキコの女子マンガ論、決定版です。
取り上げられている労働系女子マンガ:『ベルサイユのばら』『美少女戦士セーラームーン』 『動物のお医者さん』 『ハッピー・マニア』 『ちひろさん』 『重版出来!』 『娚の一生』 『椿荘101号室』 『海街 diary』 『愛すべき娘たち』など
透明人間 Invisible Mom
写真・文 山本美里
2023年
息子が重度の障害とともに生まれた日から、「私」は「医療的ケア児の母親」となった。特別支援学校へ入学すると、週のほとんどを校内で待機する日々。
「気配を消してください」と求められた私は、「私はここにいる」と言わんばかり、自分自身を写真に撮り始める。そこに写し出されたのは、「誰かのために生きる今」をそれでも楽しく生きようとする、私の姿だった――。
「母親」「お母さん」として“透明になって”生きている一人ひとりに、エールをおくるような一冊です。
「もしも、あなたに私の姿が見えるなら、見て見ぬふりをするのはズルいよな。」(「透明人間 Invisible Mom」より)
ティンダー・レモンケーキ・エフェクト
著 葉山莉子
2023年
Tinder上で「日記」と名乗り、夜な夜な毎日、日記を送る。
日記を交換するうちに、ひとりの男性に恋をした。
二〇二二年二月から一〇月までの わたしの日記と、数日間の彼の日記。
マッチングアプリでの男性からの「ヤレるヤれないの評価軸」に消耗していた「わたし」。ちょっとしたイタズラと復讐のつもりで、ある日「日記」と 名乗り、マッチした男性に日記を送りはじめた。突如日記が送られてくるというゲリラ活動をおもしろがる人が現れ、多い時には 100 人あまりと日記を送りあう。やがてひとりの男性に恋をして ……恋、狂気、ユーモア、批評、さらに性を真正面から語る、自立した女性の痛快な日記です。
PINK BLUE ピンク&ブループロジェクト
写真 ユン・ジョンミ
文 ソ・イオン
訳 小山内園子
2023年
写真家のユン・ジョンミさんが2005年から行う「The Pink & Blue Project」は、子どもたちに好きな色を質問し、その色のものだけを集めて撮影、成長してからも継続していくというものです。全世界で写真展が開かれているこのプロジェクトは、色とジェンダーの関係をはっきりと視覚で感じることができ、多くの人々を魅了しています。
部屋を埋めつくすピンクの品々と、その真ん中に立つ女の子。一面の青い品々に埋もれるようにして囲まれた男の子。作品を前にした観覧客は、それらの写真に強烈な視覚的ショックを受け、簡単には目を離すことができなくなります。(本文より)
女性議員を増やしたい ZINE
著 濵田真里
2023年
ジェンダーギャップ指数で日本は政治分野が146カ国中139位。なぜ日本には女性議員が少ないのか。
政治家=スーツを着た男性、家庭と両立できない仕事という固定概念、さらに可視化されにくい女性議員・候補者へのハラスメント。
変化する社会課題解決に向け、多様な人々が政治参画するための第一歩を考えます。
これまでずっと男性主体で続いてきた「政治」を解体し、もっと多様な人たちが関われるものにする作業を、たくさんの人たちと一緒にやっていきたい。1人でも多くの人に、女性議員を増やすためにできることを見つけてほしいという思いから作られたZINEです。
フェミサイドは、ある(ZINE)
著 皆本夏樹
2022年
2021年に起きた小田急線刺傷事件は「性別を理由にした女性の殺害」と定義される「フェミサイド」だ、女性であることを理由に向けられた暴力と差別をなかったことにしてはならない。そう考え、一人で立ち上がったある大学生が、「フェミサイドは、ある」と言い続けた行動の記録です。
反「女性差別カルチャー」読本(ZINE)
2022年
女性差別的発言、誹謗中傷、攻撃、からかいなど、SNSやメディア、リアルの生活において女性差別を「ネタ」として扱う、いうなれば「女性差別カルチャー」はなぜなくならないのか。この問題について研究、メディア、書店など多様な立場の執筆者たちがさまざまな形で考察した、読み応えある論考集です。「gasi editorial」第一弾。
執筆者:小林えみ 小山内園子 関口竜平 北村紗衣 濵田真里 能川元一 河野真太郎 小川たまか 隠岐さや香 山田亜紀子 松尾亜紀子 宮川真紀 山口智美 越智博美 松永典子 渚 清水晶子
脱コルセット:到来した想像
著 イ・ミンギョン 訳 生田美保 オ・ヨンア 小山内園子 木下美絵 キム・セヨン すんみ 朴慶姫 尹怡景
2022年
ルックス至上主義、規範的女性性に抵抗する脱コルセット運動。韓国の若い女性たちが化粧品を捨て、髪を短くした写真をSNSにアップ、急速に広まりました。女性らしさを「電撃的に打ち切る」強いアプローチを取った背景とは。イ・ミンギョンが「脱コル」実践者たちと対話し、読解を試みた渾身の1冊です。
「女性の服についているポケットが浅かったり、そもそもポケットがなかったりすることには、女性の財産、移動性、プライベートな生活、主体性と関係する政治の歴史がすべて関連しているのだ。その一例として、1954年に男性デザイナーであるクリスチャン・ディオールは、男性用の服についているポケットはなにかを入れるためのもので、女性用の服にあるポケットはただの飾りだ、と語った。」(第6章「美の観点から 機能の観点へ」より)
生きるためのフェミニズム パンとバラと反資本主義
著 堅田香緒里
2021年
2020年11月16日、渋谷区幡ヶ谷のバス停で寝泊まりしていた60代の女性が、地域の美化ボランティアに参加していた男に撲殺される事件が起こりました。この事件に象徴される排除、格差、貧困、分断の問題を最新のフェミニズムの視点から読み解き、国内外の事例から日常的で具体的な抵抗の方法を探る、気鋭の社会学者初の単著です。
「女だからといって、派遣労働者だからといって、仕事や収入を失ったからといって、野宿者だからといって、トランスジェンダーだからといって、殺されてたまるか。誰かの「安全」のために、別の誰かの命や尊厳が犠牲にされるような社会はもうごめんだ。ーこの本は、こうした思いに共鳴して書かれたものである。(「はじめに」より)
失われた賃金を求めて
著 イ・ミンギョン 訳 小山内園子・すんみ
2021年
『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』で日本にもおなじみになったイ・ミンギョンによる、男女の賃金格差をテーマにした本です。刺激的なことばから始まる本書は、この勢いのままに、昇進、雇用条件、就職、進路選択などの場面ごとに男女の賃金格差がどのように生まれているか、徹底的に追求しています。バッサバッサと不条理な格差に斬り込むミンギョン節がますます冴え渡っています。
「女性が女性だというだけで不当に評価を切り下げられる歴史は長い。もし女性が仕事で差別されていなかったら、入社直後の女性は自分の昇進の可能性をどう見きわめ、どれくらいの野望を抱いただろうか?」(本文より)
夢を描く女性たち イラスト偉人伝
著 ボムアラム 訳 尹怡景
2020年
世界各地に、さまざまな国籍、時代、活動分野で活躍した女性たちがいます。夢に向かって行動したその人生を、現代の女性作家たちのイラストとともに紹介。韓国のフェミニズム出版社ボムアラムによる、歴史上の女性のあたらしい検証です。
この混迷する現代社会に生きるなか、自らの意思で世界を切り拓いてきた女性たちの行動は、私たちに勇気を与えてくれます。日本版はあらたに 6 人の女性を追加、日本のイラストレーター6人が参加しました。
韓国フェミニズムと私たち
編 タバブックス
2020年
江南駅女性殺人事件を契機に若い女性たちがフェミニズムに覚醒し、声を上げ、社会に変化をもたらしている韓国。現在起きているフェミニズムムーブメントとその背景を検証、女性作家、アクティビスト等の声を伝え、韓日女性たちの連帯をすすめるための1冊です。
私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない
著 イ・ミンギョン 訳 すんみ 小山内園子
2020年
「あなたには、自分を守る義務がある。自分を守ることは、口をひらき、声を上げることからはじまる-」
2016年にソウル・江南駅付近で起きた女性刺殺事件をきっかけに、韓国社会で可視化され始めた女性嫌悪、性差別の問題。著者は事件を風化させないために9日間で書き上げ、SNSで仲間を集い、出版社を立ち上げて本書を発行しました。なぜ男性のことばにモヤモヤするのか、差別がなくならないのか。女性たちが実際の体験から問題をていねいに読み解き対策を考えた実践的なフェミニズム書です。
「どうして自分はフェミニズムという用語に拒否感があるのか」を考えるべきではないでしょうか。もしかして、「自分の意見が通りそうにないから」「自分の発言にだれも耳を貸してくれなさそうだから」「自分の居場所はなさそうだから」ではありませんか? そうです、まさに女性たちが、毎日そんな思いで暮らしてきました。フェミニズムは、これまで疎外されていた女性たちの声に説得力を与える運動なのです。(本書より)
「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。
著 小川たまか
2020年
性暴力被害、痴漢犯罪、年齢差別、ジェンダー格差、女性蔑視CM、#metoo…多くの人がフタをする問題を取材し、発信し、声をあげ続けるライター・小川たまか初の著書。2016年から2018年に起きた、性犯罪やそれにまつわる世論、性犯罪刑法改正、ジェンダー炎上案件などを取り上げ、発信してきた記録です。
不公平を指摘すると『面倒くさいヤツ』認定される。散々ひどい目に遭わされて、絞り出した声を『そんな言い方じゃ、誰も味方にならないよ』と言われる。そんなことが、これまで何度繰り返されてきたのだろう。(本書より)
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