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3/8国際女性デーに読みたいフェミニズムの本 9選 

(2023/3/3)

 3月8日は「国際女性デー」です。1904年3月8日、アメリカで婦人参政権を求める女性労働者たちのデモに端を発し、その後広まった女性運動の経緯を受けて、1975年の国際婦人年に国連が制定しました。

 この日は女性の自由と権利を謳い、達成してきた成果を認識する日とされています。フェミニズムの長い闘いの歴史を確認する日だといえるでしょう。

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  タバブックスでは日本、韓国のフェミニズム書籍を刊行しています。女性蔑視、フェミサイド、資本主義、ジェンダー格差、性暴力などに対する女性たちの取り組みを、ぜひこの時期に読んでいただきたくご紹介します。

 

1. 反「女性差別カルチャー」読本(ZINE)

 

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 女性差別的発言、誹謗中傷、攻撃、からかいなど、SNSやメディア、リアルの生活において女性差別を「ネタ」として扱う、いうなれば「女性差別カルチャー」はなぜなくならないのか。この問題について研究、メディア、書店など多様な立場の執筆者たちがさまざまな形で考察した、読み応えある論考集です。「gasi editorial」第一弾。

執筆者

小林えみ 小山内園子 関口竜平 北村紗衣 濵田真里 能川元一 河野真太郎 小川たまか 隠岐さや香 山田亜紀子 松尾亜紀子 宮川真紀 山口智美 越智博美 松永典子 渚 清水晶子

 

2. フェミサイドは、ある(ZINE)

著 皆本夏樹

 

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 2021年に起きた小田急線刺傷事件は「性別を理由にした女性の殺害」と定義される「フェミサイド」だ、女性であることを理由に向けられた暴力と差別をなかったことにしてはならない。そう考え、一人で立ち上がったある大学生が、「フェミサイドは、ある」と言い続けた行動の記録です。一般の書籍とは一線を画すZINEや小冊子を発行するレーベル「gasi editorial」第二弾。

「女なら誰でもよかったなら、もし全く同じ時間の同じ電車に乗っていたら、突然刺されていたのは私でもおかしくなかったじゃないか。私はたまたま家にいて平穏な日常を過ごしていたけど、そうではなかった可能性もあるんじゃないか。女であるだけで殺意を向けられるほど女性差別が根深い社会は異常ではないのか。これだけ明らかな憎悪が動機になっていて、「無差別」で片付けられてしまっていいのか。ミソジニーが背景になった事件であることが否定されていていいのか。フェミサイドをフェミサイドと呼ばなくていいのか。」(第1章「まだ知らなかった日」より)

 

3. 生きるためのフェミニズム パンとバラと反資本主義
著 堅田香緒里

 

978-4-907053-49-9

 

 2020年11月16日、渋谷区幡ヶ谷のバス停で寝泊まりしていた60代の女性が、地域の美化ボランティアに参加していた男に撲殺される事件が起こりました。この事件に象徴される排除、格差、貧困、分断の問題を最新のフェミニズムの視点から読み解き、国内外の事例から日常的で具体的な抵抗の方法を探る、気鋭の社会学者初の単著です。

「女だからといって、派遣労働者だからといって、仕事や収入を失ったからといって、野宿者だからといって、トランスジェンダーだからといって、殺されてたまるか。誰かの「安全」のために、別の誰かの命や尊厳が犠牲にされるような社会はもうごめんだ。ーこの本は、こうした思いに共鳴して書かれたものである。(「はじめに」より)

 

4. 脱コルセット:到来した想像
著 イ・ミンギョン 訳 生田美保 オ・ヨンア 小山内園子 木下美絵 キム・セヨン すんみ 朴慶姫 尹怡景

 

9784907053536

 

 ルックス至上主義、規範的女性性に抵抗する脱コルセット運動。韓国の若い女性たちが化粧品を捨て、髪を短くした写真をSNSにアップ、急速に広まりました。女性らしさを「電撃的に打ち切る」強いアプローチを取った背景とは。イ・ミンギョンが「脱コル」実践者たちと対話し、読解を試みた渾身の1冊です。

「女性の服についているポケットが浅かったり、そもそもポケットがなかったりすることには、女性の財産、移動性、プライベートな生活、主体性と関係する政治の歴史がすべて関連しているのだ。その一例として、1954年に男性デザイナーであるクリスチャン・ディオールは、男性用の服についているポケットはなにかを入れるためのもので、女性用の服にあるポケットはただの飾りだ、と語った。」(第6章「美の観点から 機能の観点へ」より)

 

5. 失われた賃金を求めて
著 イ・ミンギョン 訳 小山内園子・すんみ

 

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 『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』で日本にもおなじみになったイ・ミンギョンによる、男女の賃金格差をテーマにした本です。刺激的なことばから始まる本書は、この勢いのままに、昇進、雇用条件、就職、進路選択などの場面ごとに男女の賃金格差がどのように生まれているか、徹底的に追求しています。バッサバッサと不条理な格差に斬り込むミンギョン節がますます冴え渡っています。

「女性が女性だというだけで不当に評価を切り下げられる歴史は長い。もし女性が仕事で差別されていなかったら、入社直後の女性は自分の昇進の可能性をどう見きわめ、どれくらいの野望を抱いただろうか?」(本文より)

 

6. 夢を描く女性たち イラスト偉人伝
著 ボムアラム 訳 尹怡景

 

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 教科書に出てくる偉人はなぜ男性だけ? なのでつくった、女性偉人伝!

 世界各地に、さまざまな国籍、時代、活動分野で活躍した女性たちがいます。夢に向かって行動したその人生を、現代の女性作家たちのイラストとともに紹介。韓国のフェミニズム出版社ボムアラムによる、歴史上の女性のあたらしい検証です。

 この混迷する現代社会に生きるなか、自らの意思で世界を切り拓いてきた女性たちの行動は、私たちに勇気を与えてくれます。日本版はあらたに 6 人の女性を追加、日本のイラストレーター6人が参加しました。

 フロレンス・ナイチンゲール エメリン・パンクハースト チャ・ミリサ ヘレン・ケラー キム・ジョムドン 山川菊栄 キム・ミョンスン ヴァージニア・ウルフ クォン・キオク  ナ・へソク  ブ・チュンファ  ローザ・パークス ホ・ジョンスク イ・テヨン  キャサリン・ジョンソン 石牟礼道子 ト・ユウユウ パク・ナムオク ジェーン・グドール 田中美津 ベルタ・カセレス マリアム・ミルザハニ チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ ジャシンダ・アーダーン マララ・ユスフザイ グレタ・トゥーンベリ

 

7. 韓国フェミニズムと私たち
編 タバブックス

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 江南駅女性殺人事件を契機に若い女性たちがフェミニズムに覚醒し、声を上げ、社会に変化をもたらしている韓国。現在起きているフェミニズムムーブメントとその背景を検証、女性作家、アクティビスト等の声を伝え、韓日女性たちの連帯をすすめるための1冊です。

 

1.韓国のヤングヤングフェミニストたち 
脱コルセット 到来した想像  
フェミニストのコミュニティ設計  
interview ボムアラム(出版社)/ハン・セッピョル(DSO=デジタル・性暴力・アウト研究チーム長)
2.彼女たちが書くことば 
私たちが石膏人形に生まれたとしても  
女友達にコクられた  
韓国フェミニズム文学に描かれる共同体  
interview ユン・イヒョン(作家)/キム・ジナ(コミュニケーション・ディレクター)
3.ソウルで知ったこと 女性たちの行動 
性平等図書館「ヨギ」/記憶ゾーン/ウルフソーシャルクラブ/カフェDoing/マリーモンドラウンジ/戦争と女性の人権博物館
水曜デモは平和だ  
4.連帯、そして日本の私たち 
ガールズ・ビー・アンビシャス  
フェミニストであることが一番収まりがいい 
日本の読者がK文学に見つけたもの 
コラム:江南駅付近女性殺人事件/フェミニズム・リブート/韓国 あたらしいフェミニズムの本/韓国 女性と社会の歴史

 

 

8. 私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない
著 イ・ミンギョン 訳 すんみ 小山内園子

 

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 「あなたには、自分を守る義務がある。自分を守ることは、口をひらき、声を上げることからはじまる-」
 2016年にソウル・江南駅付近で起きた女性刺殺事件をきっかけに、韓国社会で可視化され始めた女性嫌悪、性差別の問題。著者は事件を風化させないために9日間で書き上げ、SNSで仲間を集い、出版社を立ち上げて本書を発行しました。なぜ男性のことばにモヤモヤするのか、差別がなくならないのか。女性たちが実際の体験から問題をていねいに読み解き対策を考えた実践的なフェミニズム書です。

「どうして自分はフェミニズムという用語に拒否感があるのか」を考えるべきではないでしょうか。もしかして、「自分の意見が通りそうにないから」「自分の発言にだれも耳を貸してくれなさそうだから」「自分の居場所はなさそうだから」ではありませんか? そうです、まさに女性たちが、毎日そんな思いで暮らしてきました。フェミニズムは、これまで疎外されていた女性たちの声に説得力を与える運動なのです。(本書より)

 

9. 「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。
著 小川たまか

 

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 性暴力被害、痴漢犯罪、年齢差別、ジェンダー格差、女性蔑視CM、#metoo…多くの人がフタをする問題を取材し、発信し、声をあげ続けるライター・小川たまか初の著書。2016年から2018年に起きた、性犯罪やそれにまつわる世論、性犯罪刑法改正、ジェンダー炎上案件などを取り上げ、発信してきた記録です。

不公平を指摘すると『面倒くさいヤツ』認定される。散々ひどい目に遭わされて、絞り出した声を『そんな言い方じゃ、誰も味方にならないよ』と言われる。そんなことが、これまで何度繰り返されてきたのだろう。(本書より)

 

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