2人は翻訳している

翻訳の戦慄と陶酔(後編)/小山内園子

前編はこちらです。 * * *  ひとさまの文章を預かっている以上、自分の考えでは言葉をつづれないのである。「自分の文章」の、手足を縛ること。私の場合、それが翻訳作業の最大の特徴だ。「自分の文章」ならばしなくてすむ苦労が … 続きを読む

2人は翻訳している

翻訳の戦慄と陶酔(前編)/小山内園子

 主人公は今、両腕を後ろ手に縛られて、両足も足首のあたりで結束されている。 時は夜明け前。朝露に濡れた雑草が頬をなぶって不快な触感をもたらし、後頭部は何かを押しつけられているようにキリキリ痛む ――と、ここまできて私の視 … 続きを読む

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