鳥海明子

薬膳、ららら 第4回「あなたの風邪、風寒?風熱?」 

(2014/2/10)

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風邪が流行ってますねー。
自分では気をつけているつもりでいても、電車に乗ればマスク姿で咳き込んでいる人も多く、なかなか逃げ切れるものでもなかったり…。
風邪をひいたらゆっくり休むのが一番と頭では分かっていても、なかなか仕事のスケジュールが許さないので、とりあえず、市販の風邪薬を飲んで症状を押さえ込み、だましだまし対応しています…という方も多いのでは?

一言で風邪といっても、薬膳ではタイプによってその対処の仕方が異なり、なにより「ひきはじめ」での見極めが肝心となります。
たとえば、背中のあたりがゾクゾクと寒気がしたり、体の節々が痛み首筋から肩にかけてこわばりがあるような風邪は、「風寒タイプ」と言い、体をしっかり温めて汗を出すことが大切。食材でいうと、生姜、ねぎ、青じそ、シナモンなどの体温め食材がオススメです。いつものお味噌汁に、刻みねぎとすりおろし生姜を多めにいれてフーフー言いながら食べたり、お茶のなかでも体を温める紅茶にシナモンや黒砂糖を加えて飲むのも手軽でいいですね。(体が温まって汗をかいたら、その汗をしっかりふくこともお忘れなく。ほっとくと余計に体冷えますから。)

ただし、のどが腫れて痛い、体が熱っぽい、喉が渇く…なんていう「風熱タイプ」の風邪に同じ対応をしては逆効果!
よく風邪といえば、とにかく体を温めないとと思い込んで、喉が赤く腫れてツバを飲んでも痛い…なんてときにも、「早く治したいので生姜やねぎを食べてます!」と宣言される方がありますが、これは例えるなら火事が起きているところにさらに自分で火をつけてまわっているようなもの。本当に体が求めているのは、体の熱を冷まし、炎症を鎮めてくれるような食材です。

たとえば、昔から民間療法でもよく言われる「はちみつ大根」。
生の大根は体を冷やすので、ふだん冬場に生で食べることはおすすめしませんが、こういうときは使わない手はありません。大根は、体内にたまった余分な熱を取り除き、咳やのどの痛みに効果的。
蜂蜜は、呼吸器系を司る五臓の肺を潤して咳止めにも有効。つまり薬膳的に見ても、とても理にかなっているというわけです。

そのほか、冬場に美味しい白菜も、風邪による発熱や喉の渇き、咳や痰の改善などにも良いといわれていますので、「あっ、もしや風邪ひいちゃったかな?」と思ったら、まずは自分の体からのメッセージに耳を傾けて、いまの状態にあった食材をセレクトしましょう。

そして、もうひとつ。
案外あなどれないのが日頃からの風邪予防の養生。
私はおばあちゃん子で、子どもの頃から肌寒くなってきたら外出する際はいつも、首のうしろのあたりにホッカイロを貼って出かけるように言われていたのですが、これが結構効き目あり!東洋医学では、風邪の邪気は「風門(ふうもん)」と呼ばれるツボ(うつむくと首の付け根に、大きなでっぱりのような骨が現れます。その骨から二つしたの骨を見つけ、その下から左右に指幅2本ぶん外側にあるツボ)から入ってくると考えられているので、この風門のあたりにホッカイロを貼ってそなえることは、風邪という邪気払いのお札を貼っているようなものですね。不思議なもので、この辺りが温かいと、気持ちの面でも守られているような安心感がありますので、ぜひお試しください。

で!それでも風邪をこじらせちゃった…というときは、どうするか?
もう観念して休養しましょう(笑)。「風邪の効用」という言葉があるくらいで、ふだんたまった体の疲れや不調が風邪が治ると同時に一掃されていた、なんていうのもよくある話。風邪も悪いことばかりではなしです。

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~風寒タイプの風邪に~ネギと生姜入り味噌玉

味噌玉

具合悪くなってからは、お味噌汁作るのも面倒くさいという方におすすめ。ネギのみじん切りと、生姜のすりおろし、かつおぶしを味噌とよく混ぜてラップで小分けにして包んで味噌玉を作る。湯のみにこの味噌玉と熱湯を注いでよく混ぜる。実は風邪のとき以外でも忙しい朝にもおすすめ。お弁当と一緒に持っていて、会社でお湯を注いで飲んでもいいと思います。

風寒タイプにおすすめの食材)
生姜、ねぎ、シナモン、青紫蘇、パクチー、山椒


~風熱タイプの風邪に~はちみつ大根

はちみつ大根

大根をいちょう切りにして、蓋つき容器にいれ、蜂蜜を適量注ぐ。
少なくとも3時間は放置すると、大根のエキスが出てくるので、エキスをお湯で割って飲みます。

エキスが出た後のしわしわになった大根もちょっとお醤油をたらし、白ごまと鰹節少々と混ぜ合わせると、お漬け物感覚で食べることが出来、無駄がありません。ポリポリした食感で美味しいですよ。(味見をし好みで、お塩少々をふってもよし)常備しておくと安心です。

大根漬け物


風熱タイプにおすすめの食材)
大根、白菜、菊花(茶)、ミント

鳥海明子(トリノウミ アキコ)
薬膳料理家 1972年鳥取県生まれ。本屋に生まれ、三十路までは本にまつわる仕事をあれこれ経験したのち、なぜか食べることで人と人をつなげる仕事をしたいと思いたち料理の道に。薬膳をやっているというと、お酒も飲まないストイックな健康オタクかと思われがちだが、さにあらず。一年中、燗酒をたしなみつつ、ほどほど元気で、わりかし笑って過ごせれば御の字さ、をモットーに暮らしている。目指すところは、ピンピンコロリ。著書に『ひとりごはんの薬膳レシピ』(誠文堂新光社)『女性力を高める薬膳レシピ』(マイナビ)など。

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