へんしん不要

へんしん不要〈第25通〉梅雨は自力で越せないから、「せっかく」の波に乗る 

(2019/6/26)

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イラスト・題字 のむらあい

封筒_もちい

こんにちは、調子はどうですか? 今日は部屋で雨の音を聞きながらお便りを書いています。もう六月、梅雨ですね。

毎年この時期は低気圧で元気がなくなり、気持ちもぐらつきがちになるのですが、今年はやや落ち着いて過ごせている気がします。もちろん不安定な気候に振り回されてはいますし、この間の気圧の谷にはしっかり嵌りました。けれども例年のように、毎日を鬱々と過ごすことはないように思います。

なんとなく感じているのは「梅雨に関しては自分はもうだめだ」と諦めがついてきた、ということです。「頭痛ーる」(気圧の変動を教えてくれるアプリ・とても助かる)を毎日チェックして、急降下するグラフと「超警戒」の文字を見たら、その日はもう諦める。「今日はもう無理なので閉店で~す」と声に出して宣言してから、お布団に入ります。生産性のある行為を自分に課すのをやめ、ご飯もウーバーイーツで頼んじゃう。もちろんこれまでも「梅雨はあかんわ」という意識はあったのですが、今年はその割り切り度合いがさらに高まっている、のかもしれません。

 それに、最近の私はなんというか、自我が薄い暮らしをしています。こうじめじめしていると食欲も湧かないし、蒸し暑さで頭もなんだかぼうっとして、何かをしたいという意欲が湧かない。気を抜いていたら、そのまま自分の存在が希薄になっていってしまいそうです。とはいえ、周りに心配をかけるだろうから食事もどうにか摂らないといけないし、与えてもらった仕事もあるので、それもやっていかなければなりません。正直なところ「梅雨を自分の力で乗り越える」という意欲は湧かないのですが、周りの人の善意とか自分に割り当ててもらった役目とか、そういう大きな波に押してもらいながら、どうにか梅雨を漂っている現状です。

 少し前に、六月とは思えない暑さの日がありましたね。そのときに外を歩いていたら、近所のおじさんが「熱中症にはカルピスと味噌汁がいいらしいですよ」と教えてくれました。なぜカルピスとお味噌汁が良いのかはよく分かりませんでしたが、せっかくなので自販機でカルピスを買って飲み、後日スーパーでインスタントのお味噌汁も買いました。ちなみにその日の朝ごはんは、同居人が買い置きをしてくれていたウイダーインゼリーと、実家から送られてきたカゴメのスープ。あんまり食欲はないけれど、せっかく用意してもらったんだから、食べよう。そして仕事。しんどいけど、せっかくもらった仕事なんだから、やろう。「せっかく」の大きな波がきている。

 明日は、東京ドームのあたりにあるスパ施設に行くつもりです。たまたまじゃらんのポイント(よくばら撒かれるやつ)が1000ポイントくらい当たり、それを確認しにサイトにログインしたら追加でクーポン(これもよくばら撒かれるやつ)も1000ポイントくらい当たり、例によって「せっかくだしな」と思ったので……。しかしよく考えたら最近は銭湯にも行けていなかったし、よく考えたら腰や背中も凝っている気がする。ぼんやりしていたら、また全身が干物のようにバキバキになるところでした……。じゃらんのクーポン、これもまた大きな波でしょうか。

餅井

餅井アンナ(もちい・あんな)

1993年宮城県生まれ。ライター。食と性、ジェンダーについての文章を中心に書いています。「wezzy」にて書評・コラムなどを執筆中。食と性のミニコミ『食に淫する』制作。

 

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