へんしん不要

へんしん不要〈第15通〉仕事は1日2時間にしました 

(2018/8/16)

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イラスト・題字 のむらあい

封筒_もちい

 こんにちは、調子はどうですか。8月になって、鬼のようだった気温もちょっと落ち着いてきましたね。私も梅雨あたりから最悪だった調子を、少しずつ復旧させつつあります。

 今年の夏は気温がめちゃくちゃで、お盆を過ぎてもまだ、エアコンの温度設定の適正値がつかめません。ずっと家にいる身としてはなかなかに由々しき事態です。いつも微妙に暑かったり寒かったり蒸していたり乾燥していたりで、このままでは夏が終わってしまう、と思いながら暮らしています。

 自分にとって適切だったり快適だったりするポイントを見定めるのは、なかなか難しい。梅雨以降、気分や体調が安定しなかったりで、仕事が思うように進みません。集中して取り組みたい原稿があるのに、全然書けない。すぐに気が散るし眠くなるし、パソコンに向かうのも億劫で、布団の中に逃げ込んでは鬱々とする日が続いていました。

  おそらく色々なことに疲れているというのも大きいのだと思いますが、書けない日が続いていると、休んだり気分転換をすることに対しても罪悪感を抱いてしまいます。半日布団の中にいても頭の片隅ではずっと原稿のことを考えているし、遊んでいても「こんなことをしている場合ではない」という意識に苛まれてしまう。完全に「休めない→書けない」のループにはまっています。えいやとパソコンを開いても、ついネットを見てしまったりで集中力が続かず、ズルズルと向かい続けて気づけば6時間くらい経っている。まだ400字しか書けていないのに……。

  どうにもしんどく、同居人に助けを求めることにしました。同居人からのお達しは「仕事は1日2時間まで」とのこと。2時間って少なくない!? 会社員は9時5時で働いているのでは……? びびる私に、同居人は淡々と「アンナちゃんは会社員じゃないし、今、毎日2時間できてないよね?」と追及してきました。「それやったら確実に今よりできるってことでしょ。2時間集中してやって、それであとの時間は好きなことしとき」。

  とりあえず、言われた通りにやってみることにしました。お達しが出たのが先月の終わり頃で、ここ2週間ほどは毎日2時間(2日くらい休みました)書いています。たしかに2時間だけと思えば抵抗なくパソコンを開けるし、集中力も保つ。昼間に1時間、夜に1時間でもいい。これが3時間だったらプレッシャーを感じて続かなかったでしょう。それに、うまく休めるようになったことでゲージが貯まりやすくなったのか、筆が乗るタイムが前より頻繁にやってくるようになりました。劇的に仕事の進みが早くなったというわけではないものの、かなり快適です。

  たぶん今の私にとっての適正値は、この「1日2時間」なのだと思います。文字にするとやっぱり少ない、と感じるのですが、それは「みんなより少ない」であって「私にとって少ない」ではないのです。私はなぜか「みんな(主に会社員)が8時間働いているんだから、自分も同じ時間働かなきゃいけない」と思い込んでいて、そのことが仕事へのプレッシャーや休むことへの罪悪感につながっていた気がします。

  私はみんなと同じように毎朝電車に乗ったり、決まった時間に会社に行ったりすることができません。だから会社員にならずに今の仕事を選んだはずだったのに、まだ「みんなと同じにしなきゃ」に縛られていた。「根深い……!」と叫びたくなってしまいます。2時間というのは同業の人たちと比べても少ないとは思うのですが、まあそれはそれだし、調子がいいときもあるし、そのうちもっと書けるようになるかもしれないし……。

  でも今はこれがベストなのだから仕方ない。私は基本的に三日坊主なので、2週間続いているというのはだいぶすごいのです。来月またお便りを書くときに、これが持続していたらいいなと思います。贅沢を言えば、エアコンの適正値もつかめていたら……。どうぞ、熱中症には十分気をつけてくださいね。

餅井

餅井アンナ(もちい・あんな)
1993年宮城県生まれ。ライター。食と性、ジェンダーについての文章を中心に書いています。「wezzy」にて書評・コラムなどを執筆中。食と性のミニコミ『食に淫する』制作。

 

 

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